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ディープラーニングの活用事例4選【ビジネスから学ぶ】

最近ディープラーニングという言葉をニュースや新聞で目にする機会が増えてきたのではないでしょうか。ディープラーニングとは、コンピュータ機械学習の一種です。

今後は様々な分野での活用が期待されています。当記事では、ディープラーニングの仕組みから具体的な活用事例まで、ディープラーニングについて幅広く解説します。

ディープラーニングとは?

ディープラーニングの仕組み

ディープラーニングは、「ニューラルネットワーク」という構造から成っています。そのため、ディープニューラルネットワークと呼ばれることもあります。ニューラルネットワークとは、人間の神経回路にならい、数式でつくられたネットワークのことです。

ここでの「ディープ」とは、ニューラルネットワークの層が重なっていることを意味します。通常、ニューラルネットワークの層は2〜3程度ですが、一般的なディープラーニングでは150の層になります。

各層にはデータが入っており、多数の層の間でデータを行き来することで、情報が「学習」される仕組みです。そのため、ディープラーニングでは自律的な学習が可能となります。

ディープラーニングはなぜ重要なのか

現在、世界中で膨大な量のデータが取り扱われています。それぞれのデータを管理したり、分析したりするには人間の能力だけでは手に負えません。そこで、活躍を期待されるのがディープラーニングです。

人間の代わりにディープラーニングが複雑なタスクや大量のデータを分析することで、人々は人間しかできない活動により営めるようになるのです。

また、ディープラーニングでは、ただデータを認識するだけではなく、自ら「学習」します。そのため将来的には、ビジネスなどの重要な意思決定にもディープラーニングの活躍が期待されています。

ディープラーニングを使ってできること

ディープラーニングを使ってできることは、多岐にわたります。ディープラーニングは汎用性の高い技術です。今回は、ディープラーニングを使ってできる主に4つのことを紹介します。

画像認識

画像認識は、ディープラーニングが得意としている機能の一つです。トロント大学のヒルトン教授が2012年の画像認識コンテストで優勝し、世界的な話題となりました。ディープラーニングの技術を使うことで、画像を認識しそれに応じた説明文を自動的に付けることが可能です。

例えば、警察の捜査に役立つと考えられます。捜査現場に多くの人がいた場合、何百もの写真を分析し、犯人を特定するのに役立つでしょう。また、360度の画像カメラと連動する自動運転技術の精度改善にも役立ちます。

音声認識

ビジネスや学術界では、ディープラーニングの「音声認識」機能をすでに幅広く活用しています。ディープラーニングでは、人の発言パターンや音声パターンを認識します。

AppleのSiri、Skype、Google Nowなどが代表例でしょう。他にはアップロードされた動画の音声を認識して検索できるサービスや会議中の音声を自動的に議事録に記録するサービスなどで活用されています。

自然言語処理

自然言語処理とは、人の話す言葉をコンピュータで処理する技術です。ディープラーニングによる自然言語処理は、以前から行われてきました。ディープラーニングによって、報道レポート、医療現場のメモ、学術論文などの幅広い文章を分析し、パターンを発見できます。

また、Google翻訳の性能が上がったと一時期話題となりましたが、ディープラーニングを活用したためです。

ディープラーニングの活用が期待される分野

ディープラーニングの活用が期待される分野は様々ですが、今回は4分野に絞って紹介してします。

医療研究

特にがんの研究では、ディープラーニングを活用し、がん細胞を自動的に検出しています。UCLA(カリフォルニア大学ロサンゼルス校)では、ディープラーニング用のデータ作成を行う顕微鏡を用意し、がん細胞を適切に発見する方法を見つけました。

日本では、理化学研究所国立がんセンターではディープラーニングを活用した画像認識により、がんの陽性的中率を93.4%まで高まったといいます。また、画像認識の他にも医療データの分析やオンライン診断などの活用が期待されています。

自動運転

自動運転の研究では、ディープラーニングを活用されています。信号機や標識をディープラーニングで認識することで、精度を高めています。

また、歩行者検知にもディープラーニングの技術が使われているため、事故を未然に防ぐことができます。海外では自動運転による事故も発生しており、まだ開発途上ではあるものの、今後の実用化が期待されています。

産業オートメーション

ディープラーニングは、産業オートメーションでの安全性を確保します。例えば、人やモノが工事中などの危険区域に入った場合、自動で探知することで、作業者は安心できます。

産業オートメーション向けにディープラーニングを活用したソフトウエアサービスを提供しているOSARO社が1600万米ドルもの資金調達をするなど、産業オートメーションでの活用にも注目が集められています。

エレクトロニクス

ディープラーニングは、自動翻訳に活用できます。例えば、Amazon EchoやGoogle Homeをはじめとする人の声に反応して好みに合わせてホームアシスタントデバイスには、ディープラーニングの技術が使われています。

日本におけるディープラーニングの活用事例

様々な分野での活用が期待されるディープランニングですが、日本においてもすでに活用事例がいくつかあります。今回は、日本におけるディープラーニングの活用事例を4つ紹介します。

みずほ証券の活用事例

みずほ証券は早い段階からディープラーニングを活用しています。2016年11月にディープラーニングを使った株式売買システムの提供を開始しました。同システムは、株価に関連する合計7900ものデータをディープラーニングにより学習させ、株価を予測するといったものです。

ディープラーニングは、株価をはじめ、時系列データを学習するのが得意です。株価を予測するのは様々な指標を確認しなければならないため、多くの時間を要します。

ディープラーニングの活用によって、時間の短縮が期待されています。他にも自動売買システムの開発に着手している証券会社やヘッジファンドが増えています。

トライアルの活用事例

トライアルは、九州地域を中心にスーパーやディスカウントストアを運営している企業です。小売業業界でのディープラーニングの活用が始まっています。リテールIA研究会を発足し、受注の自動化や決済手段の円滑化を目指しています。中でもディープラーニングを活用しているのが欠陥認識システムです。

ディープランニングが得意とする画像認識機能により、商品の欠陥を正確に探知しています。ディープラーニングを活用した画像認識があることで、自動発注の精度が高まりました。その結果として、同社は商品単価を下げることに成功しています。

タカノメの活用事例

タカノメは京大発のベンチャー企業です。ポイ捨てを調査するアプリ「ピリカ」を提供しています。ゴミ処理現場では、人手不足が慢性化しているため、ゴミ処理に関わる複数の企業はゴミ処理の自動化を進めています。

ゴミ処理の自動化を検討する際に、活躍を期待されているのがディープラーニングによる画像認識です。ゴミ処理では、プラスチックや金属、軽いゴミや重いゴミなど選別する際にディープラーニングの技術を活用することで、従来よりも素早くかつ正確に選別が可能になるといわれています。

現に、ピリカのポイ捨てされたゴミを選別するシステムは、ディープラーニングを活用しています。ピリカを使ってゴミを撮影すると、ゴミの種類や数を分析し、ゴミ捨て場におかれたゴミかポイ捨てされたゴミか判断されます。同アプリは、すでに大阪東淀川区や川崎駅周辺をはじめ、ニューヨークでも使用実績があります。

クエリーアイの活用事例

クエリーアイでは、ディープラーニングを活用した文章作成を試しています。AIが執筆した書籍である「賢人降臨」を販売しました。「賢人降臨」は、新渡戸稲造の「白警録」と福沢諭吉の「学問のすすめ」を独自開発したディープラーニングに学習させ、「成功とは」や「若者」など 5つのテーマで小説を執筆させました。

なお、今回の執筆では校正を一切行っていないといいます。一般的に、他のAIが執筆した書籍では校正が行われています。クエリーアイの事例は、ディープラーニングによる文章作成の貴重な資料といえるでしょう。

ディープラーニングの事例から活用の検討を

ディープラーニングは、主に画像認識や音声認識、自然言語処理を得意としています。今回紹介しました通り、医療分野から自動運転まで、幅広い分野で活用されています。海外企業をはじめ、日本でもすでにディープラーニングの技術を活用している企業はいます。

ディープラーニングを活用することで、業務効率化や新たなサービスへと繋がるでしょう。今回紹介した事例を参考にして、ディープラーニングの活用を検討してはいかがでしょうか。

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